世界中にたくさんの健康法がありますが、「長寿」のための健康法として証明されている唯一の健康法は「少食」です。
ただ「少食」といってもむやみに食事を減らせばよいということではなく、健康な肉体を保つためには大切なルールがあります。マクロビオティックの創始者「桜沢如一先生」によると、医学にはランクがあります。今困っている症状を改善する「対症療法」。その上には、薬を使う以外の方法で病気を治していこうとする「養生法」。さらにその上に病気になるのを防ぐ「健康法」。その上に位置するのが今回紹介する「不老長寿法」になります。本当はその上にまだ３ランクの社会的、哲学的、地球的なレベルの医学があるのですが、「不老長寿の為の少食」は深く掘り下げていくとそちらに行き着く、いわば入口のようなものだと考えても良いと思います。
　「食」とは「いのち」であって「もの」ではなく、この天からいただく「いのち」によって私達は生かされているのであり、この「いのち」をできるだけ殺生しないという「少食」が実は愛と慈悲の具体的表現であったのです。（甲田光雄先生著：少食が健康の原点）

小食の効用（甲田光雄先生著：少食が健康の原点より）
●小食で健康長寿が得られる l 小食で頭脳は明晰になる
●小食で疲れずスタミナが増す
●小食で睡眠も短くてすむ
●小食でキレイになる
●小食で便通もよくなる
●小食で愛と慈悲の実行者になれる

少食の基本的ルール（ニコニコ流）

（簡単に行う方法は最後に書いておきますが、ルールは理解しておいてください）

1. 少食であるほど良質のものを食べる
　少食にする時に一番大切なことで、基本的に主食を玄米にすることです。玄米は人間に必要な栄養素をバランスよく含みます。大吟醸のお酒を造るときに、米の表面を削って中心部だけを使うのは、表面にはタンパク質や油が含まれているからなのです。肉やバターなどから摂らなくても玄米に少しの副食で人は充分に活動的に生きていけるものです。昔の人力車夫は１ヶ月にわずかハンバーグ1個分の脂肪しか摂っていなかったのに、毎日人を乗せて30キロ40キロと走っていたのです。又、玄米を中心に置く事で、良く咀嚼する習慣が身につきます。タンパク質をたくさん食べた大きな体が必ずしも丈夫で長生きできる体ではないことには皆さんうすうす気がついておられる事かと思います。成長期に骨格を中心として良い体格を作るための食生活にシフトすることはまだ良いとしても（ただし遺伝子に合った食文化は守るほうが良い）、充分に成長もした後の成人については、食べ過ぎによって損なわれたり失われたりするものの方が多いことを知るべきでしょう。

2. 一物全体
　食物は元来「生き物」であるので、その全体をもって完結しています。したがってその全体でバランスがとれているものなのです。最近「免疫」と「自律神経」のシステムをわかり易く明快な理論で解明し、テレビや雑誌によく登場される新潟大学の安保徹先生もその書物の中で、癌の患者さんに良い食物として全体食のできる小魚や小海老などをあげておられます。例えば身近なところで、蒸したサツマイモを食べるとき皮ごと食べるとムネヤケしないのも全体食の効果なのです。

3. 陰陽
　人にはそれぞれ体質があります。エネルギーがありすぎて不健康な人と少ない為に不健康な人。漢方よりもっと以前からの考え方に「陰・陽」というものがあります。すべての物に「陰陽」がありますので、当然食物にも「陰陽」があります。玄米は陰陽の中間に位置する食べ物ですからこれを主食にするわけですが、小食の場合には食べるものが少ないのですから、ことさら体質を見極めて食物を選ばなければなりません。

4. 生命をそのまま食べる
　生命をそのまま食べるといっても、調理することに慣れてしまった我々が生魚（刺身は別として）にかぶりつくわけにはいきません。生で食べられる野菜や果物はできるだけ季節の旬のもので、農薬や化学肥料の少ないものを食べることです。それから発酵食品（納豆、漬物、味噌など）を摂るようにすることをお薦めします。（納豆よりヨーグルトの方がオシャレですが、我々の遺伝子には納豆の方が合っているのです。発酵食品は腸内環境を整える働きもしてくれます）

5. 宿便をためない
　小食にすると大便が出にくくなるというイメージがありますが、実際は消化器官の負担が少なくなっている分だけ動きはよくなるものです。ただし、今までの食生活を急に改めたからといって胃腸がそんなに急に動きがよくなるわけではありません。そこで、前の項目で述べた発酵食品のほかに食物繊維の多いものを良く噛んで食べていただきます。

6. あせらない、無理しない、ダメ出ししない
　最近の時間は昔に比べたら、おそらくずいぶんスピードが速くなっているようです。そのため一話完結のドラマのように結論を急ぎすぎるきらいがあります。その結果先に述べた「対症療法」のような早く結果が出る治療法に走ってしまいます。桜沢如一先生は「対症療法というものは、もっとも初歩的な目先のもので、どの国でもすべて似たりよったりであります。それは、何とかして病気の症状を治したいばかりに、あらゆるものをギセイにし、この方法が非道徳的なものであるかどうかさえ反省するユトリを失っています」と述べられています。「対症療法」よりも「養生法」。それより未病を防ぐ「健康法」。それよりもっと奥深い「不老長寿法の小食」は時間がかかるものなのです。あせり、無理は禁物ですが、小さな失敗や挫折で投げ出すことなく、とりくみ続けることが成果を得る秘訣です。

7. 打ち込める何かを持つ
　とはいえ「食欲」という一番強い「本能」に挑戦するわけですから、これは本当に大変なことなのです。重い病を「少食」乗り越え、そのありがたみを身をもって知ったような人でなければ本当の少食を実行し続ける事は難しいでしょう。でも、私も経験したことですが、少食中は本当に体が軽く、頭も良く冴えるので、肉体としては本当に「この状態を続けたいなー」と思う状態なのです。そして、何か夢中になって打ち込んでいるときには食べたいという欲求もどこかに消えているのです。ですから少食を成功させるためには、何か生産的なことに打ち込み、夢中になることが良いと思います。

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